インドのデリーから、イギリスのロンドンまで、バスで移動した人の話「深夜特急」
この本「深夜特急」は、世界を旅する「バックパッカー」のバイブルです。この本は作家の沢木耕太郎さん自身が26歳の時に実際に旅をして、その日々をつづった紀行文です。
ノンフィクションといいますか、旅行記みたいなものです。
時代は1970年代。
この時代に世界中をあてもなくフラフラした人は珍しいのではないでしょうか?
旅行スタイルは現代のような快適なパッケージツアーではなく、無計画で安宿を転々とする貧乏旅行スタイルです。
今でいう「バックパッカー」です。
大筋としては、インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗り合いバスで移動した旅の記録。
実際の旅のスタートは香港なのですが、香港からロンドンまで一気に駆け抜けるのではなく、気に入った街では長期に滞在して、地元の人達や、海外から来たバックパッカー達と出会い、いろいろな体験をします。
まだインターネットのない時代なので、今いる街がどんな街なのかは自分で探るしかありません。
次の目的地がどんなところなのかという情報も、もちろんありません。
この先何が起こるのかわからない未踏の地を進んで行く冒険です。
日本の国内旅行では味わえない独特の緊張感に満ちた日々。
読んでいると、まるで僕自身が本の中に入って旅をしている真っ最中かのような感覚になります。
日本国内しか見えていなかった僕の視野を、世界に向かわせてくれるきっかけとなった超大作です!
著者について
沢木耕太郎
1947年東京生れ。横浜国立大学経済学部卒業。ほどなくルポライターとして出発し、鮮烈な感性と斬新な文体で注目を集める。1979年『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、1982年に『一瞬の夏』で新田次郎文学賞。その後も『深夜特急』や『檀』など今も読み継がれる名作を次々に発表し、2006年『凍』で講談社ノンフィクション賞を、2014年に『キャパの十字架』で司馬遼太郎賞を受賞している。近年は長編小説『波の音が消えるまで』『春に散る』を刊行。その他にも『旅する力』『あなたがいる場所』『流星ひとつ』「沢木耕太郎ノンフィクション」シリーズ、対談集「沢木耕太郎セッションズ〈訊いて、聴く〉」『銀河を渡る 全エッセイ』『作家との遭遇 全作家論』などがある。